この章では開業にあたって重要な「物件探し・店舗選び」、「必要な届け出」や「開業資金」について、ポイントを掲げて記載させて頂きます。

物件探し・店舗選び

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物件のセオリーでは、ビルの2階までがお客様を呼び込む限界と言えます。

これ以上の階層になるとブランド力がない限り難しいのが現状です。ただ、飲食店は立地の優劣は確かにありますが、それがすべてではありません。繁華街のメインストリートに面しているからと言って必ず繁盛店になれるとは限らず、商店街の外れや路地裏に立地しながら地域一番店になっているお店も存在します。

忘れないでください「飲食店は付加価値商売」です。

一等地は家賃・保証金が高いため、席数の少ない小さなお店であれば、繁盛してもなかなか利益を作ることができません。ということは、自然とできる業態は限られ、高い客単価の設定しかできなくなります。予算の範囲内で契約できる物件を探し、席数と家賃から利益をシュミレーションし、キャッシュフローまで計画することが重要です。

物件を決める際に必ず約束してほしいポイントは3つです。

①予算の範囲内

②家賃は原則予測月売上の10%以内

③ファザード(入口、看板)の作れない物件は選ばない

 

 

物件選びには焦りが生じ(いい物件は迷っている間に他のお店にとられてしまう)たり、いろんな物件を見ている間にこだわりがエスカレートし、自分の選択するべき物件を客観的に見れなくなりがちです。物件は出会いです。

 

また、物件を探していると必ず出てくるのが「居抜き物件」です。

 

これは以前開業していたところを内装ごと購入するものになりますのでイニシャルコストを圧倒的に抑えることができます。居抜き物件の利用は、会社の財務を有利にします。有名どころの飲食チェーン、居酒屋チェーンの出店戦略でも重要な要素として扱われています。

 

ただ、居抜き物件は出会える可能性が低い(通常競争の激しい繁華街等で多く見かける)うえに次のような特徴がありますので気を付けて慎重に判断してください。

 

①自分の経営するお店と同業種が望ましい。

 

②厨房は使えるが内装は使えないと言われていますが、できれば内装もそのまま使いたい所(張替の費用は高いため)です。また厨房の試運転は絶対に行ってください。問題があることもしばしばです。

 

③基本的には事業失敗の跡地のためハンデを背負っています。元の店名は引き継がない、前オーナーの話は半分で聞いてください。話として重要な失敗した本当の原因等は、なかなか出てきません。そもそも理解できてるとしたら、おそらく失敗していないでしょう。

 

④リース料やローン残額等引き継ぐ場合は契約内容を十分注意してください。

 

物件が決定すると、次は内装の設計・施工業者を選ばなければなりません。初期投資を低く押さえたいのであれば設計・施工業者が一体となったプランで考えるべきです。ただし、予算が高くついてもいい仕事を望むのであれば設計・施工は分けたほうが良いです。また、自分のこだわり、予算、日程等をしっかり伝えるのは当然ですが最も大事なことは設計・施工について、飲食専門の業者にお願いしてください。

これは飲食店の場合、曲線を多用するため専門知識が問われるからです。たまに入口の扉が風量に押さえられ非常に重たい焼肉屋に遭遇しますがこれは焼肉屋の特殊な風量計算を間違えた典型の店舗です。

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必要な届け出

 

申請が必要なのは、消防署、保健所、警察署、税務署、労働基準監督署の5か所です。ただし、警察署(公安委員会)への申請が必要なのは風俗営業のみです。(風俗営業許可申請)

 

消防署への届出は「防火対象物使用開始届書」が必要となります。この届書は内装工事業者が届け出てくれますが万一がありますので必ず確認してください。また、場合によっては建築確認申請(市区町村役所など)も必要ですが、これも一般的に業者が代行してくれます。

 

保健所には、営業許可申請書を提出します。申請に必要なものは、個人営業の場合は

①申請書1通

②営業設備の大要2通

③営業設備の配置図2通

④食品衛生責任者資格証明書(写しも可)

⑤印鑑

⑥許可申請手数料

で、法人の場合はこれに登記事項証明書1通が必要になります。

また、深夜営業を行わない場合は飲食店営業許可の申請だけで営業することができますが、深夜0時以降も営業したいという事であれば「深夜酒類提供飲食店営業開始届出書」が必要となってきます。

また「生がき」などを取り扱う場合も申請が必要なので事前に保健所と相談してみてください。保健所の検査のポイントは清潔への配慮です。注意すべき項目は多岐にわたりますが設備段階でアドバイスを求めておくと、検査はスムーズに進むでしょう。

税務署へは、個人の場合、開業後1カ月以内に「個人事業の開廃業等届出書」を提出します。その他に青色申告を選択する場合は「青色申告承認申請所」を2月以内に提出する必要があります。

申請書類は店舗工事完成予定日の1週間から10日前に提出するのが望ましいです。

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開業資金

概ね1000万円~3000万円が相場ですが、店舗設計等でいくらでも上下しますので、なかなか見積もりが難しいのが現実です。以下に開業に係るお金を纏めますので予算作成にご利用ください。

 

物件取得費

保証金(敷金・礼金・内装譲渡費など)

店舗工事費

設計料、内装・設備工事費、外装・造園工事費、厨房設備工事費、看板工事費

設備費等

イス・テーブル費、調度品費、レジ費、装飾品費、サンプル費、ユニフォーム費、デザイン関係費(メニュー表、ロゴ)、消耗品費、開店費(求人費、広告宣伝費、教育・開発費など)

予備費

予定外費用の予備費、運転資金(3か月分)

開業