親より子が先に亡くなった場合の遺言書の効力について
本日は知っておきたい遺言の話として、親より子が先に亡くなった場合の遺言書の効力の話です。
下記の事例で考えたいと思います。
遺言者 A
推定相続人 長男と二男
遺言書作成日 平成22年1月
遺言の内容 長男に全て相続させる。
長男の相続発生日 平成24年1月
Aの相続発生日 平成25年1月
上記の場合にAが作成した遺言書の効力について考えたいと思います。
問題は長男に相続させる予定であった財産の行方です。
長男が先に亡くなった場合には相続人の権利は長男の子供達に引き継がれますので、長男の子供達が長男の相続分を承継することになります。
しかしながら、遺言書には、あくまでも長男に相続させるとしか記載がないため、遺言の効力は孫までには及ばないとするのが最高裁の基本的な考え方になります。
従って、長男に相続させる旨の遺言は無効となり、長男の子供達と二男で遺産分割協議が必要になります。
仮に二男が法定相続分である2分の1を要求してきた場合には、長男の子供達の財産取得分も2分の1とならざるを得ないという結論になります。
このようなことも考えて、遺言書には、財産取得予定者が先に亡くなった場合に次に誰が取得するのか(この遺言のことを「予備的遺言」といいます)をしっかりと記載しておくことをお勧めします。
また、いったん作成した遺言書は、家族の事情や財産状況の変化、税制改正等により見直しをする必要がありますので、定期的なメンテナンスをされるといいでしょう。