タワーマンション節税に要注意
最近、タワーマンション節税が流行っていますが、その節税スキームには十分注意が必要になります。東京都心のタワーマンションの高層階を購入した場合には、評価が概ね8割下がると言われていますが、平成23年7月1日の裁決事例では、この節税スキームが否認されました。
裁決では、相続開始年において購入されたタワーマンションの評価を財産評価基本通達に定める評価に基づき、取得価額の約20%で評価をして申告をしていましたが、当該評価は認められず取得価額で評価をするべきであるとされました。
もっとも、この事例自体が相続開始直前に購入し、購入価額の約2割で評価を行い、相続が発生した翌年に取得価額に近い金額で売却された事例であり、非常に課税当局からすると否認し易い事例であったといえます。
相続税の財産評価は相続発生時点の時価とされており、その時価は財産評価基本通達に基づく評価によることとされています。しかしながら、財産評価基本通達による評価が著しく不適当であると認められる場合には、評価基本通達の評価によらないことも認められています。
本年の裁決や裁判事例では、行き過ぎた節税スキームを否認する事例が多くなってきており、世の中に広まったタワーマンションの節税スキームについては、当然、課税当局も放っておくような問題ではないと考えているでしょう。
昔、賃貸マンションの消費税の還付スキームが流行りましたが、これを防ぐために平成22年に消費税の改正が行われたのと同じように、タワーマンション節税についても何らかの租税回避防止の措置が講じられる可能性はあるかと思います。
節税にはリスクがつきものです。何らかの節税を行う場合には、税理士にその節税スキームにどれだけリスクがあるのかよく相談してから慎重に判断して実行しましょう。