税制改正の紆余曲折
安倍首相は、消費税の10%への引き上げ時期を平成27年10月から1年半延長し、平成29年4月に延期する方針を政権公約に明記しました。消費税の10%への引き上げの議論は、少なくとも8年以上前からされていますが、これまでの経緯は様々な紆余曲折があり、今に至っています。
同様に来年1月から適用となる相続税の改正にも紆余曲折がありました。最初に相続税の見直しが浮上したのは、平成22年度税制改正大綱(平成21年12月)でした。格差是正の観点から、相続税の課税ベース、税率構造の見直しについて平成23年度税制改正を目指すこととされました。
そこでは、基礎控除が4割減になるなど、資産家の方のみならず、都内に一戸建てを持つ一般的なサラリーマンの方にとっても相続税が課税される可能性が出てきたため大きな話題となりました。その平成22年度税制改正大綱を踏まえ、平成23年1月に税制改正法案が国会へ提出されました。当初案では、平成23年4月1日以後の相続により改正法を適用するものとされていました。
しかし、ねじれ国会や平成23年3月の東日本大震災の影響により改正は見送りとなり、一旦は平成23年度税制改正大綱から削除されました。
再度、平成24年2月の「社会保障・税一体改革大綱」の中で、平成27年以降の相続から見直しを実施する旨の内容が盛り込まれ、閣議決定、国会への法案提出までなされました。
最終的には平成24年6月の民主・自民・公明の3党合意の際にその法案からも削除されましたが、平成25年度税制改正において「必要な法制上の措置を講ずる」として再び検討されることとされ、平成25年3月29日に国会において法案が可決、平成27年1月1日以後の相続開始に改正法が適用されることが決定しました。
様々な紆余曲折を経て、いよいよ来年から増税が開始となります。相続税も大衆的な税になりますので、一度専門家に相続税の試算をしてもらうといいかと思います。