相続税の税収と改正理由について

来年から増税とされる相続税ですが、そもそも相続税の税収はどれぐらいかご存知でしょうか。
平成23年度の財務省のデータになりますが、相続税の税収は約1.4兆円となります。
それに対して所得税の税収は約13.4兆円、法人税の税収は約7.7兆円、消費税の税収は
約10.1兆円となっています。消費税の税率1%分の税収(約2兆円)よりも相続税の税収
(約1.4兆円)の方が少ないことになります。

では、そもそも何故、相続税の税収は引き上げられることになったのでしょうか。
平成23年度に相続税が税制改正(増税)項目としてあげられた理由として次の4つがあります。

(1)課税割合の減少
課税割合とは、死亡者数のうち、相続税申告書を提出した者の割合をいいます。
相続税の課税割合は、昭和62年のピーク時に100人中7.9人であったのに対し、平成22年度
では100人中4.2人となっています。課税割合が減少し、一部の資産家のみが相続税を負担して
いる状況となっています。

(2)実効税率の減少
実効税率とは、合計課税価格のうち納付税額の割合をいいます。
平成3年のピーク時は実行税率22.2%であるのに対し、平成22年度は11.2%となっています。

(3)相続税の基礎控除の見直し

最近の地価は、バブル期のピーク時の3分の1から4分の1となっていますが、基礎控除はバブル期
の高い地価に対応したままとなっています。
現在の基礎控除は、バブル期の地価の急騰に伴い引き上げられてきたもので、その後の地価下落にも
かかわらず、据え置かれていると指摘されています。

 

(4)税収の減少
相続税の税収は、平成5年度は約2.9兆円であるのに対し、平成22年度は1.2兆円となっており
、バブル期以後減少傾向にあります。

上記のような理由から相続税の増税が議論され、結果として来年から下記の通り基礎控除が引き下げら
れることになりました。

【改正前】 5000万円+(1000万円×法定相続人の数)

【改正後】 3000万円+(600万円×法定相続人の数)